
日々の食卓に木の器がひとつ加わるだけで、いつもの料理が、少しあたたかく見えてきます。一方で、使い続けるうちに気になってくるのが、乾燥や、細かなひび割れのこと。ここでは、木製の器を長く、気持ちよく使うための基本をまとめました。
★ 工房視点のひとこと ★
木は“使っていく素材”です。買った瞬間が完成ではなく、 使いながら整えていくことで風合いが深まっていく—— この感覚を持っていると、多少の傷や色の変化も“味”として楽しめます。

木の器のお手入れは、むずかしく考える必要はありません。大切なのは、次の3つだけ。
① 洗い方
② 乾燥とオイルメンテナンス
③ 保管場所
この流れを意識するだけで、木の器は驚くほど長持ちします。それぞれ、順に見ていきましょう。

|基本の洗い方
中性洗剤とスポンジで、やさしく洗うのが基本です。木は繊細な素材なので、強くこすらないことが長持ちのコツ。
|浸け置きは避ける
長時間水に浸すと、木が水分を含んで膨張し、乾燥時に収縮します。この繰り返しが、ひびや反りの原因になります。
|食洗機は?
基本的にはNGです。急激な温度変化や強い乾燥が、割れや変形を招くことがあります。
★ 工房視点のひとこと ★
洗うタイミングは「使ったらすぐ」。これは食器だけでなく、木工の現場でも同じです。木も道具も、後回しにしないほうが長くご機嫌でいてくれます。

|塗装の違いと、手入れの考え方
★ 工房視点のひとこと ★
ペーパーで軽く研ぐとき、木目に沿って動かすと整いやすいです。 “面倒だな”と思う作業ですが、 仕上がりの変化がいちばん実感できる工程でもあります。おすすめオイル…えごま油、亜麻仁油、くるみ油などの乾性油(または不乾性油)。食用油で代用可能ですが、サラダ油などの半乾性油はベタつくので避けましょう。方法は、器が乾いた状態でオイルを薄く塗り、余分なオイルを拭き取ってから風通しの良い場所で乾燥させます。頻度は、かさつきが気になったら(半年~1年ごと)でOKです。

★ 工房視点のひとこと ★
冬場の暖房、夏場の湿気は木にとって過酷な環境です。季節によって置き場所を少し変えてあげるだけでも、器の寿命はぐっと伸びます。
木の器は、手をかけたぶんだけ表情が育ちます。洗い、乾かし、油を差し、また使う。道具と会話するように、付き合っていく。その積み重ねが、お気に入りを長く、美しく使い続けるためのいちばんの近道です。